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(らしさ+本音=自分の色)「true colors」をぶつけて グローバルを舞台に奮闘する関西ペイント社員のEPISODE Story
野村辰宏
海外営業(マレーシア)
2008年入社/外国語学部 国際文化学科

伸展著しいASEAN市場の一角を担うマレーシアに、2011年4月からアドバイザーとして駐在赴任。日系やローカル(現地)の自動車メーカーへの営業提案から導入支援まで、またローカルスタッフの指導などを担当。入社後は国内の営業所を経て、本社・国際本部で海外現地法人の支援業務を担当した。
EPISODE Story01
念願だった海外駐在。「いつかは…」と期待していたけど、こんなに早く実現するとは思っていなかった。

『海外へ行って、仕事がしたい』

外国語学部でドイツ語を専攻する野村が就職活動を始めた時、思い浮かんだのはその一念だ。海外への憧れを抱いたのは少年時代、外交官の知人が何カ国語も自由に操る姿を目にした瞬間だった。商社やメーカーなど民間企業の志望先を考える中で、どこよりも心を動かされたのが関西ペイントだった。

『海外駐在のチャンスがあるだけでなく、いろんな国と地域でビジネスをしていて、マーケットも大きい。しかも、日本のトップメーカー。仕事をするなら、スケール感があった方が面白そうだよね』

そう感じさせる魅力に惹かれ、塗料のことは何も知らなかったが、入社を決めた野村。国内営業所と本社・国際本部での仕事を経て迎えた4年目、ついに念願の海外駐在が決まった。だが、それは野村にとって予想外の出来事だった。

『確かに20代で海外駐在をしている先輩もいるし、自分もいつかはそうなりたい、と願っていたのも事実。でも、こんなに早く実現するとは…』

戸惑いを感じながらも、せっかくのチャンスが嬉しいことに変わりはない。笑顔の野村に告げられた赴任先は、東南アジアの経済新興国・マレーシアだった。そして、上司からはたったひと言、「ローカル化してこい」とアドバイスを受ける。

『開拓者になってこい、ということなんだろうな』

ローカル化。この5文字の意味を噛み締めながら、野村は飛行機で約7時間かけてマレーシアの首都・クアラルンプールに降り立った。

20代で海外で働くのは、大きなチャンス。関西ペイントグループが世界を塗り替えていく 「開拓者」になっていくぞ。
EPISODE Story02
知識も経験も浅く「アドバイザー」の 肩書にふさわしくない自分がいる。多国籍なコミュニケーションにも気後れ・・

マレー系にチャイナ系、インド系。多民族が暮らすマレーシアは、まさに「ダイバーシティ」(多様性)という言葉がふさわしい地だ。野村が駐在する現地法人のオフィスも、視線の先には肌や髪の色もファッションも異なる、実に多様なローカルスタッフの姿がある。そして、市場開拓プロジェクトのロードマップを描き出し、管理する野村には日々、チャイナ系・マレー系のローカルスタッフとの協業が求められていた。

『話しかけるだけなら英語で充分。だけど仕事を進めようとすると、チャイナ系もマレー系も文化の違いがかなりあるし、大変だなあ』

営業担当のローカルスタッフはチャイナ系が多く、すべてにアグレッシブ。仕事が速く、大きな声ではっきり主張もする。一方マレー系は時間にルーズで、指示がなかなか実行されないこともある。最初はマレーシアの事情に知識が浅いこともあって「アドバイザー」の肩書きも有名無実となり、中々信用されない。会議でも気後れして、どうしても受け身になっていた。

『このままでは、いけない。とにかく自分の想いや言いたいことは、しっかりと伝えられるようになろう』

そう心に決めてから、野村は一つの工夫を凝らし始める。まずは相手の話を謙虚に聞き入れる。そして、中国語やマレー語の単語をおりまぜるなど、相手の習慣や文化的バックグラウンドをふまえたコミュニケーションを心がけた。さらに、「OK」「ダメなものはダメ」と、主体性を持って伝えるべきことを発信していく。そうやって懸命に双方向の対話を心がけていると、徐々に信頼を得られるようになり、さらに「もっとこうしたら…」と、少しずつ自分の色を出せるようにもなった。

『相手を理解する心と、伝えたいという想いの力。両方あれば、相手が誰でも大丈夫なんだな』

まだ、理想とする対等な対話にはおよばない。それでも日々、野村は得意な英語に磨きをかけて上達し、さらに「自分の色」を出す努力も続けている。

いつも「理解する心と想い」を両輪に対話を心がければ、 相手が誰でも大丈夫だし、「自分の色」も出していける
EPISODE Story03
本社からの指示と、ローカル(現地法人)の声。間に入って調整し、意思統一するのは大変だよ。

最前線のローカルスタッフと、後方で支援する本社。マレーシアと日本、双方の意思統一をサポートしていくことも、野村の大切な役割だ。価格や納期はもちろん、品質など技術的な事柄まで、電話・テレビ会議を駆使して調整役を務めるなど、守備範囲は幅広い。

『マレーシアにある日系企業のお客様の日本本社と現地法人、関西ペイントの日本本社と現地法人。応対する組織の数だけでも、日本での営業提案時の2倍。折衝・連絡の数は、それ以上で大変だよ…』

物理的な仕事量だけではない。連絡ミスや誤解によって、お客様の信頼を失うことは許されないためプレッシャーも大きい。グローバル戦略に基づく指示が日本本社から届くと、すぐにローカルへ徹底し、情報と行動を共有していくことになる。反対に、本社の指示があっても「現地は、こういう事情があるから指示通りにはできない」と、時にはローカルを守る立場に立つこともある。

『現地の情報は、本社よりも私の方が知っているから、優先度は高いはずだ。難しく考えるな。どちらのサイドに立つかではなく、シンプルに、常にローカルのことを最優先に考えて仕事をしよう』

グローバルとローカル、全体最適と部分最適のバランスは、多くの企業が抱える難題であり重責だ。だが野村は敢えて難しく考えず、独自にシンプルなものさしを導き出した。それは、多くの人と人を繋いで活かすために自ら動き、同時に多くの人も動かしていく野村ならでは、と言える。そして、しっかりと意思統一して営業提案に成功した時の達成感とやりがいは、日本にいた頃の何倍も大きいことも知っている。

最前線のローカルと本社のつながりを、 活かすも殺すも自分次第。 重責だが、やりがいは大きいぞ。
EPISODE Story04
自動車塗料分野で、マレーシアではトップシェア。でも7割からさらにシェアを高めるなんて、どうすりゃいいの。

現地法人の本社玄関にある「KANSAI PAINT No.1 in Malaysia」の看板―。マレーシアにおける自動車塗料分野のシェアは日系メーカーを中心に約70%に達し、トップブランドの座を確立している証しだ。しかも、ローカルの国産車メーカーのシェアは80%近くを誇る。だからと言って、野村が手放しで喜んでいられるわけではない。

『20%を50%にするなら、他社のシェアを切り崩せばいい。でも、70%からさらにシェアを上積みするなんて、そう簡単にはいかないよ』

シェアアップへ、野村に残された開拓可能なマーケットは、小規模のローカルメーカーか、世界規模のグローバルメーカーの現地工場だ。また、競争力がある電着塗料(自動車ボディの下地用塗料)に加えて、カラーベース・トップコートクリヤー(色彩塗料)の製品評価を高めてシェアを伸ばすことも可能だ。さらに視野を広げて、ベトナムやミャンマーなど、大きな可能性を秘めるASEANマーケットを切り拓いていく構想へと、夢は広がる。

『輸出入の書類手続きなど政府の許可を得るのは大変で、時間も手間もかかる。でもそれ以上に、楽しみと充実感は大きいだろうな』

どのプランの実現にも欠かせないと野村が考えるのが、ローカルスタッフの活躍だ。お客様の現地ニーズをキャッチし、製品品質の強みをアピールして、日本からの技術的なサポートも活かす。成功の鍵は、ローカルスタッフの営業力が握っている。

『ローカルの営業を動かし、日系メーカー以外のお客様を増やしてこそ、本当の意味で関西ペイントグループもグローバル企業と呼ばれる存在になれる。そのために自分はまだ、何も成し遂げてはいない』

野村の挑戦は道半ばだが、その歩みはしっかりと前へ、一歩を踏み出している。

日系以外のローカル&グローバルメーカーを開拓し、製品ラインナップの充実度を高めれば、更なるシェアアップは可能だ。
EPISODE Story05
海外駐在は成長のチャンスと言うけれど、自分は本当に成長し、会社や世の中に貢献できているのだろうか。

街のイルミネーションが煌めく夜景パノラマを、眼下に一望する高層マンション。独り暮らしには少し広い自宅で、野村はある言葉を思い出していた。かつて日本を発つ時、上司からもらった「ローカル化しろ」とのアドバイス。最近、その真意がようやくわかってきた気がする。

『異文化とそこにいるローカルの人の輪に溶け込み、日本人同士では得られない生の情報を得ることが何より大切だ、という意味だったんだ。新聞もいいけど、人から得る情報が最も新鮮で、信頼できる。確かにその術を知っていることほど、開拓者として心強いことはないな』

そんな野村は今、マレーシアでの仕事はバスケットボールに似ている、と感じている。勝つためにどういう戦略を選ぶのか、最終的に誰が何をやるのか。全員がビジョンを共有し、全体の役割分担を俯瞰したうえで、声を出しアイコンタクトもしながら、状況の変化に即応して自らの判断で考え、丁寧にパスを交換しながらゴールへと行動する。バスケットコートの上にいた学生時代の自分の姿を思い浮かべることで、いつも主体的により良い方向へ持って行こう、というスタイルが自然体で身に付くようになった。

『知識のベースがあって、自分ならこうするという主張をしっかり持ち、最後までやりきる。そんな人が海外には向いている。私も日本にいたら、指示がないと何もできないままだったかも。経験知という財産を、海外では先取りできたおかげだろうな』

「指示待ち」から脱却した野村の後ろ姿には、自分が社長になったつもりで主体的に物事を進めていけば、会社や世の中に貢献できるという、確かな自信が滲み出ている。

「ローカル化」とは、溶け込んで生の情報をつかむことだとわかった。指示待ちから脱皮し、キャリアを先取りして成長する自分がいる。
EPISODE Story06
これからのグローバル展開には 「日本の延長線上」だけでは通用しなくなっていくぞ。

マレーシアに駐在して3年目を迎える野村は、常にグローバル市場の動きにアンテナを張り続けてきた。そして今、自分なりに一つの仮説を立てている。

『海外すべてのローカルマーケットが、グローバルマーケットと同じ姿になろうとしているみたいだ』

世界中の自動車メーカーが進出して群雄割拠する中国市場は、その典型だ。「どのローカルにも、あらゆるメーカーが勢揃いする」時代を迎え、特にマレーシアやタイ、インドネシアなど新興国が数多いASEANは需要拡大が見込めるだけに、可能性は大きいが競争も熾烈になる。当然、自動車塗料も同じ道を辿ることを見通して、野村は「一つのローカル=グローバル」と考えたのである。

『日本もかなりグローバル化の意識が浸透しているし、海外に進出する人も増えている。ただこれまでのように、日本の営業スタイルの延長線上では、これからのグローバルのビジネスには通用しなくなる。
決まったやり方ではなく、誰か他の人に教わるのでもない。もっと自由な発想とイメージで、自分らしく行動していくことが求められている。そうした変化の潮流を、ライブに肌で感じられるのも、海外駐在のいいところなんだろうな』

語学力や伝える想いの強さに加えて、これから海外へ出ていく人材には、自由な発想と行動が必要になる。これからも未知のマーケットに挑戦したいと考える野村は、自戒も込めて力強く、未来の仲間へこんなメッセージを託した。

「乾いたスポンジになれ」

異文化に柔軟に対応し、経験知として蓄えられるその繰り返しのチャレンジが、新たな発想と行動力の糧となる。そんな「乾いたスポンジ」が世界各地に姿を現す日は、そう遠くないはずだ。

「一つの地域=世界」になれば、自由な発想と行動が必要になる。競争は厳しいが、「乾いたスポンジ」にはふさわしい舞台だ。